架空のコンサルタント料を計上したとされる脱税事件で、三菱重工業元部長で航空機資材販売コンサルタント会社社長の山本彰一容疑者（７２）が、架空業務を発注していたコンサル会社や、コンサル料を受け取っていた航空機部品商社を、三菱重工業在籍時に自ら設立していたことが２８日、捜査関係者の話で分かった。名古屋地検特捜部は、同容疑者がリベートビジネスを在職中に計画し、受け皿作りを進めていたとみて調べている。

　捜査関係者などによると、架空業務発注先とされるコンサル会社は８８年設立で現在は山本容疑者の姉が経営。航空機部品商社は８７年の設立。航空機資材販売コンサルタント会社「マルチ・マネージメント・システム」は９０年の設立だった。山本容疑者は当時三菱重工の社員だったため、いずれの会社でも経営者に就いていないが、実質的には同容疑者が設立したという。

　特捜部は、山本容疑者が三菱重工に在籍中は取引先からリベートを受け取ることはできないため、設立したコンサル会社などを通じて間接的に受け取っていた可能性があるとみている。退職後は両社の経営を他の人間に任せ、自らはマルチ社の社長となって両社と取引を続けていた。

　一方、所得隠しのための資金還流に協力した謝礼として、山本容疑者が姉に数百万円を渡していたことが分かった。山本容疑者は姉の会社に架空のコンサル料を支払った後、一部の謝礼を残して自社に還流させていたという。【山口知】